目黒区で暮らしております芦田 玲と申します。今年で38歳を迎えまして、現在は二児の母として、自宅で複数の仕事に取り組む、いわゆる「パラレルキャリア」という働き方を実践しております。かつてはIR広報として企業に勤めておりましたが、上の娘の出産を機に、自宅での働き方へとシフトした次第でございます。
わたしがどのようにしてこのパラレルキャリアを築き上げてきたのか、その経験を交えながら、もしかしたらこの働き方がお役に立つかもしれない方々へ、ささやかながらわたしの視点をお伝えできればと存じます。一言でパラレルキャリアと申しましても、その形はまさしく十人十色でございますものね。わたくしのささやかな体験が、皆さまのキャリア形成の一助となりましたら、これほど嬉しいことはございません。
わたくしがパラレルキャリアという概念に興味を持ったのは、遡ること、ちょうど5年前のことだったでしょうか。当時、IR広報として多忙な日々を送る中で、パリに住む友人と話す機会がございましてね。彼女は当時、昼間は美術館のキュレーターアシスタントとして働き、夜は自宅でワインのテイスティングに関する記事を執筆していると申しておりました。その話を聞いた時、一つの仕事に縛られず、自身の知的好奇心とキャリアを多角的に広げるその姿勢に、なんとも言えない憧れを抱いたものです。フランスでは、複数の仕事を掛け持ちすることが、キャリアアップの一環としてごく自然なこととして受け止められていると、よく耳にいたします。そういった背景もあって、わたし自身も「いつか、わたしもそのような働き方を実践してみたいものだわ」と、漠然とではございますが、心に留めておりました。
わたくしの人生における運命の転機は、やはり上の娘の出産でした。それまでの仕事に情熱を注いでおりましたが、子育てと両立することを考えた時に、フルタイムでの復職は正直なところ難しいと感じざるを得ませんでした。しかし、ただ専業主婦になることにも、どこか物足りなさを感じておりましたの。IR広報時代に培った情報収集力や文章力、そして何よりも「社会と繋がり続けたい」という欲求が、わたしの中に強く残っていたのです。
そこでふと、フランスの友人の話と、あの時のパラレルキャリアへの淡い憧れを思い出したのです。インターネットで在宅の仕事を探し始めたのは、今から約2年前の春、上の娘がちょうど幼稚園に入園した頃でしたかしらね。最初は漠然と「PCを使った仕事」という程度の認識でおりました。
わたしの最初のパラレルキャリア体験は、あるコンサルティング会社でのデータ入力のお仕事でしたわ。これが、まさかわたくしのIR広報時代の経験が思わぬ形で活かされることになろうとは、その時は夢にも思いませんでしたね。企業情報や市場データに関する膨大な情報を、指定されたフォーマットに入力していく作業でございました。当初は「単純作業かしら?」と予想していたのですが、IR広報として企業の財務諸表や開示資料を読み慣れていたわたしには、データの背景や意味を理解しながら作業を進められるという強みがございました。
このお仕事は、週に3日、午前中の3時間だけ。時給にして1,500円ほどをいただいておりました。目黒の自宅、南向きの書斎で、窓から差し込む柔らかな日差しを浴びながらPCに向かう日々は、それまでのオフィスワークとは全く異なる種類の充実感をわたくしにもたらしてくれました。もちろん、慣れない在宅での作業に戸惑うこともございました。特に、自宅に籠もりますと、家事や育児との境界線が曖昧になりがちで、集中力を維持するのが難しかった時期も、正直申し上げるとございました。そこでわたくしは、これはわたし流の工夫なのですが、朝食を終えた後、書斎に入る前に一度、パリのカフェにいるような気分で、挽きたての豆で淹れたエスプレッソを、ほんのひととき、ゆっくりと味わう時間を作ることにしたのです。この小さな儀式が、オンとオフを切り替えるのに、ええ、実に大いに役立ったものです。
そして、このデータ入力のお仕事でこつこつと実績を積んで参りましたことがきっかけとなり、昨年の秋には、別の会社からメールオペレーターのお仕事もいただけたのでございます。これは、海外の顧客からの問い合わせメールに、主に日本語で対応するというものでした。わたしのフランス語検定2級のスキルが役立つ場面もございましたし、IR広報時代に多国籍な投資家の方々とコミュニケーションを取っていた経験から、言葉の壁を乗り越えて相手の意図を汲み取る力が、ここでも大いに活かされたと実感しております。このメールオペレーターのお仕事は、月に2万円ほどではございますが、自宅にいながらにして海外と繋がれる喜びは、わたくしにとって何物にも代えがたいものでございます。🇫🇷
これらの体験を通してわたくしが感じておりますのは、パラレルキャリアがもたらす、底知れない知的な刺激と、何よりも自己成長の機会でございますね。単一の仕事では得られない多角的な視点や、新たなスキルの習得。これらは、人生をより豊かに彩るものだと確信しております。
それでは、どのような方がパラレルキャリアに向いていらっしゃるのか。わたしのささやかな経験から申し上げますと、いくつかポイントがあるように感じております。
まず、自己管理能力と時間管理能力は、何よりも不可欠だと存じます。複数の仕事を同時並行で進めるには、それぞれのタスクの優先順位をつけ、効率的に時間を配分する力が求められますものね。わたしも、例えば週末には、次の週ごとのスケジュールを愛用のモレスキンの手帳に書き出し、毎朝、本日やるべきタスクを再確認する習慣を続けておりますわ。
次に挙げますのは、新しいことへの飽くなき好奇心と、学び続ける姿勢でしょうか。パラレルキャリアは、これまで経験のない分野に挑戦する機会を多く与えてくれます。知らないことを恐れず、むしろそれを楽しむくらいの気持ちで臨むことが、新しい世界を拓く上で大変大切だと感じ入っております。わたしも、時折耳にする新しいツールの使い方を学んでみたり、IR広報時代から関心のある業界のトレンドを調べたりと、常にアンテナを張るように心がけているつもりです。
そして、意外に思われるかもしれませんが、コミュニケーション能力も、非常に重要な要素だとわたくしは考えております。在宅での仕事が中心となると、同僚やクライアントとの対面でのやり取りは必然的に減りますが、メールやオンラインツールを通じて、より明確に、そして丁寧に意思疎通を図る必要が生まれます。フランスでは「言葉は文化の鏡」と申しますが、まさしくその通りで、言葉の選び方一つで印象は随分と変わりますものね。誤解なく、円滑にプロジェクトを進めるためには、相手の意図を正確に理解し、ご自身の考えを的確に伝える力が、想像以上に求められるのではないでしょうか。
最後に、ご自身の専門性や得意分野を客観的に見極める力も、決して軽視できない点だと存じます。IR広報の経験がデータ入力やメールオペレーターの仕事に活かされたように、過去のキャリアで培われたスキルや知識は、形を変えて新たな仕事に結びつく、豊かな可能性を秘めているものです。ご自身が「何を得意とし、どのようなことに喜びを感じるのか」を、先月の休日にゆっくりとコーヒーを味わいながら見つめ直したのですが、そのような時間は、パラレルキャリアを始める上で、これほど有意義なものはないと感じたものです。
日本における「働き方」の概念は、ここ数年で大きく変化してきていると、わたしは感じております。かつては終身雇用が当たり前で、一つの会社でキャリアを全うすることが美徳とされてきました。しかし、現代は、特に女性にとって、ライフステージの変化に合わせて柔軟な働き方を選ぶことが、より重要になってきております。これは、何世紀も前からバカンスや余暇の過ごし方を大切にしてきたヨーロッパ、とりわけフランスの人々が持つ、「人生を豊かに生きる」という哲学にも通じるものがあるのではないでしょうか。仕事だけでなく、家庭や趣味、学びといった人生の様々な要素を、バランス良く組み合わせること。それこそが、私たちがより充実した毎日を送るための秘訣だと、わたしは信じて疑いません。🥐
わたしのパラレルキャリアは、まさしく目黒の自宅から世界へと繋がる、大きな窓のようなものだと感じております。目黒の静かな自宅でPCに向かいながらも、データを通して社会の動きを肌で感じ、メールを通して海の向こうの方々と繋がることができる。これは、わたくしにとって何よりの喜びでございます。
もちろん、この働き方が決して楽な道ばかりだとは申しません。時には、複数の締め切りに追われる日々もございますし、新しい知識を習得するのに苦労することもございます。しかし、そういった困難を乗り越えることで得られる達成感と、自身の可能性が広がっていく確かな実感は、わたくしにとって何物にも代えがたい、かけがえのない財産でございます。
もし、今、在宅でのお仕事や副業に少しでも興味をお持ちでいらっしゃるのでしたら、まずはご自身の得意なことや、あるいは心惹かれる分野から、小さな一歩を踏み出されてみてはいかがでしょうか。その小さな一歩が、きっと、あなたらしい新たな世界へと繋がる扉を開いてくださるはずでございます。わたしの場合は、まだ見ぬ次のステップとして、フランス語を使った翻訳の仕事にも挑戦してみたいと、密かに夢見ておりますのよ。
